中堅・中小企業では、この10年間、採用難がひどくなる一方なので大学生全体の大手志向という傾向は、求人倍率の推移のデータからも読み取ることができ大卒求人倍率とは、民間企業への就職を希望する学生一人に対する企業の求人状況を算出したもので、倍率が高くなればなるほど、採用する企業にとっては厳しい売り手市場・採用氷河期と言われる状況になる。逆に倍率が低くなればなるほど、就職を希望している学生にとって厳しい買い手市場・就職氷河期と言われる状況になる。
1999年あたりからインターネットの分野で独立起業することが一種のムーブメントになり、「インターネットが世界を変える」「ネットビジネスはすぐにでも花開く」というムードが広がった。さらに「最初にシェアを握った企業だけが生き残れる」というネットビジネスのセオリーが重視され、「まずは無料でサービスを提供し、シェアを握る」という戦略をとる企業が数多く現れた。
インターネットビジネスの将来性に期待した投資家からの資金も豊富に流れ込み、大手企業を退職して、仲間と起業する人が続出し、「今、行動しなくては乗り遅れてしまう」という雰囲気があった。
「ベンチャー企業」や「起業」をテーマにしたセミナーを開催するとあっという間に定員になってしまうという状況が現実にあった。
中小企業の求人倍率が2000年3月卒で1.55倍にまで下がったのは、このような背景があったからだ。しかしながら、2001年を境にネットバブルは崩壊。さらにその後のライブドア(現ラィブドアホールディングス)創業者の証券取引法違反容疑事件やコムスンの介護報酬不正請求事件、グッドウィルの職業安定法違反ほう助(無許可派遣)事件などが続き、ベンチャー企業のイメージが低下。
ここ数年、中小企業の求人倍率が高い数値で推移している背景には、景気回復で大企業の求人が増えたことのほかに、こうした学生の「ベンチャー企業離れ」の心理的要因も影響しているものと考えられる。
ここ数年、大手企業の採用数が増え、学生にとっては「超・売り手市場」、企業にとっては「採用氷河期」などと言われ、学生の間で認知度が低い中小・ベンチャー企業にとっては、厳しい状況が続いてきた。
それが米国のサブプライムローン問題に端を発した2008年のリーマンショック以降、急激に暗転し、学生にとっての「売り手市場の終罵」が叫ばれている。
「売り手市場の終罵」とは「学生の就職が厳しくなり、企業の採用がラクになる」という単純な話ではない。
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